世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話

定価 2,400円+税
著者名 ボブ・エクスタイン(著),藤村 奈緒美(訳)
ページ数 178
判型 B5変
発行年月 2017/02
ISBN 9784767822860

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世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話

内容・概要

『ニューヨーカー』誌のイラストレーターが
世界の75の書店から聞き書きした、
個性的で楽しく、時にはほろ苦い逸話の数々。

デヴィッド・ボウイ、クリントン元大統領、マドンナ、
ロビン・ウィリアムズ、ルー・リード、ウンベルト・エーコ、
モリッシー、エドワード・ゴーリー、ヘミングウェイ……
綺羅星のような著名人たちも顔をのぞかせる、笑いとペーソスに満ちた一冊。
美しいイラストで綴られた、書店文化への愛とノスタルジーが
つまったビジュアルブックです。


本書は、世界各地の独立系書店と、本を愛するすべての人を称えてつくったものだ。
こうして数多くのイラストを描くことができたのは光栄である。
すばらしい書店のすべてを本書に収めることはできなかったが
───掲載できなかったところには心よりお詫び申し上げる──

この本は、過去から現在までのあらゆる書店、
そして書店のオーナーをはじめとする店員の皆さんのものだ。
本屋で暮らしたいと夢見たことのある、すべての人に本書を捧げる。
―「はじめに」より―

【著者紹介】
ボブ・エクスタイン
イラストレーター、作家、漫画家。
『ニューヨーカー』、『ニューヨーク・タイムズ』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』など、
多くの雑誌や新聞に作品が掲載されている。雪だるま研究の世界的な第一人者でもあり、
著書に『The History of the Snowman(雪だるまの歴史)』がある。ニューヨーク市在住。

目次

【10-11p】
「映画製作者で、『I Was Hitler’s Prisoner(私はヒトラーの囚人だった)』という本も書いたステファン・ローラントは、1940年にここレノックスに移ってきて、1997年に亡くなるまでこの店の近くに住んでいた。うちの店にもよく来ていて、あるときついに機会をとらえて、ヒトラーを直接知っていたのかどうか、どんな人だったか聞いてみた。すると彼は、もったいぶった口調でこう言ったんだ。『われわれは恋敵でしたよ』」─マシュー・タネンバウム、オーナー


【12-13p】
「スクリブナーズの社長のオフィスは店の上にありました。ヘミングウェイが新しい小説『誰がために鐘は鳴る』の原稿を持っていったところ、当時の社長は、原稿の中のある言葉が気に入らなかったんです。『どの言葉ですか?』とヘミングウェイが尋ねると、社長はその言葉を口にするのもはばかられたので卓上カレンダーに書き、ヘミングウェイはそれを削除すると言ってくれました。翌朝、秘書は戸惑っていました。どうして社長は『今日の予定』の欄に『ファック』と書いたのか、とね」─レオン・フライリヒ、「パーク・スロープの桂冠詩人」


【18-19p】
「娘さんのための本を探しに来た男性がいました。児童書の仕入れ担当のギーラ・ピアソンは、本のディスプレイに使う段ボール製のスタンドを組み立てようと苦労しているところでした。だから『喜んでお探しします。それに、このスタンドをつくるのを手伝ってくださったら2割引にしますよ』と言うと、その人は『いや、割引は結構。でもお手伝いしましょう』と言ってくれました。そのお客さんはギーラと床に座ってスタンドを組み立ててから、本を1冊買って帰りました。すると、店の奥で仕事をしていたギーラの娘が言ったんです。『今の人、誰だかわかった?右目と左目の色が違ってたでしょ?デヴィッド・ボウイよ』」─ジャクリーン・ケラハン、オーナー


【22-23p】
「前より広い新しい店に移ってすぐの頃だった。ある土曜日の朝、アコーディオンを持ったお客さんが入ってきた。続いてもう1人。そしてアコーディオンのフラッシュ・モブが始まった。バイオリン弾きも1人いたね。私たちも机をいくつかどかして場所を空けて、音楽とダンスで移転祝いをしたよ。あるお客さんに『ここって、いつもこんなににぎやかなんですか?』と聞かれたので、『そうなんです』と答えたよ。嘘だったけどね」
─デイヴィッド・エンヤート、コモン・グッド・ブックス

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