医薬理工の異分野融合研究から見えたナノバイオの未来

定価 4,000円+税
著者名
ページ数 0
判型 A4判
発行年月 2010/06
ISBN 9784767810010

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医薬理工の異分野融合研究から見えたナノバイオの未来

内容・概要

東京大学ナノバイオ・インテグレーション研究拠点(CNBI:Center for NanoBio Integration)が、未来型ナノ医療の構築とナノバイオによる新しい産業の創出を目指し、バイオインスパイアード・ナノマシン、バイオセンシング・システム、ナノスケール細胞治療のためのナノテクノロジー・材料研究に取り組んだ活動の集大成。
東京大学大学院医学系、薬学系、理工学系研究者ら七十余名が5年間の年限で行った研究成果のレポート、インタビュー、ディスカッションなどを収める。巻末には、ナノバイオ用語解説のほか、海外でのナノバイオ関連の研究動向をまとめたレポートなど参考資料を付す。

目次

【はじめに】
未来型ナノ医療の実現を目指して本気で取り組んだ10年。ナノバイオの未来が見えてきた……片岡一則

【Part1 医療】
●Chapter01 創薬・DDS(Drug Delivery System)

高分子ミセルとデンドリマー、2つの高分子化合物を融合するDDSで眼科領域の新しい治療法に光明……片岡一則/相田卓三/玉置泰裕
TGF-βシグナル阻害剤とナノドラッグの併用効果……宮園浩平
高分子ミセルを用いた、新しいDDSを開発する……西山伸宏
電荷反転型ポリイオンコンプレックスミセルによる細胞内タンパク質デリバリー……李衍
低毒性ポリカチオンを用いた遺伝子デリバリー……石井武彦
がん治療を目指した高分子ミセル型遺伝子ベクター……大庭誠/Muri Han
実用に向かうナノDDSの難治がんや血液脳関門へのアプローチ……稲生靖/加藤泰己/楠原洋之
化合物の選択から臨床試験まで、これからの創薬にはナノバイオテクノロジーの貢献が欠かせない……杉山雄一/加藤大/狩野光伸
リン原子修飾型核酸医薬の精密合成……和田猛
がん標的治療を目指すリガンド装着型インテリジェント高分子ミセル……�「潤秀
がん組織構築の改変を併用したナノテクノロジーによる抗がん剤の治療効果発揮……狩野光伸
精密高分子合成による遺伝子キャリア用インテリジェントナノデバイスの構築……宮田完二郎
DNAの折りたたみから見る凝縮機構の解明……長田健介
高含水ゲルを利用して生体物質を集積化した高精度、高効率な分析法の開発……加藤大

◆Chapter 02○再生医療

再生医療の実現には工学の視点からの研究が不可欠……牛田多加志/鄭雄一/三宅淳
医学、工学、薬学を横断する幅広いアプローチで骨や軟骨の再生医療を目指す……鄭雄一
高分子ミセルを用いた遺伝子デリバリーを整形外科分野の再生医療につなげたい……位高啓史
再生軟骨の構築……古川克子
工学と医学の研究室が連携して新しいポリマーバイオマテリアルを応用。人工股関節の長寿命化に挑む……石原一彦/高取吉雄
肝組織工学のための技術融合……酒井康行
組織エレメントを用いたセミボトムアップ的手法による組織再構築……酒井康行
骨形成性シグナル経路の解明と骨再生医学への応用……大庭伸介
人工核酸リガンドを用いた3次元培養scaffold(足場)の開発……大内将司
均一網目構造を有する新規高強度ハイドロゲル-TetraGel-の創製……酒井崇匡

◆Chapter 03○メディカルフィジックス

患者にも医療従事者にもメリットがある医療用ロボットを目指して……光石衛
マイクロバブル援用超音波遺伝子導入システムの開発……松本洋一郎
セルセラピーのためのピンポイント照射システム……上坂充

◆Chapter 04○新医療技術

活性化マクロファージを標的としたセルセラピー……清水孝雄
細胞膜修飾剤(BAM)を用いた細胞転写プリンティング技術の開発……新海政重
生体内に近い環境の実現を目指すマイクロ流体デバイス……藤井輝夫/木村啓志
微細加工技術を用いた高収率細胞融合と細胞質移植……鷲津正夫
分子コンポーネントの集合挙動制御に基づく巨視的ベシクル形成法の開発……岸村顕広/小穴英廣
細胞物質輸送ナノバイオデバイス(セルシャトル)……金野智浩
単一細胞制御を可能にするセルサージェリー技術……木原隆典
細胞の時空間を制御するリン脂質ポリマーハイドロゲル“セルコンテナー”……金野智浩
運動神経細胞におけるポリオウイルス軸索輸送・脱殻機能のリアルタイム解析……大岡静衣
分岐型構造を有する融合シトクロムP450(P450)……平川秀彦
複合的マイクロバイオアッセイシステムの開発……加納ふみ

【Part 2 解析技術】
◆Chapter 01○センシング(診断)デバイス

スライドガラス上に集積化した巨大実験室と熱レンズ顕微鏡で新しいサイエンスを構築したい……北森武彦
ナノバイオチップ技術を基盤に、脳を測る・酵素を創る……一木隆範
バイオインターフェイスの研究から、医療用分析デバイスの開発へ……高井まどか
バイオマテリアル界面の水の構造……高井まどか
拡張ナノ空間における水の特異挙動……塚原剛彦
低分子化合物およびペプチドの非競合的高感度免疫測定法の開発……上田宏
エレクトロニクスをベースに新しいナノデバイスを作り出す……田畑仁
バイオトランジスタを用いた生体分子および細胞の機能解析……宮原裕二
細胞を包む、並べる、創る……竹内昌治
マイクロマシンを使って、DNAと細胞の新しいサイエンスを探る……藤田博之/鷲津正夫
生きたままの細胞を観察することで、遺伝子のネットワークを解析し、創薬や再生医療につなげる……長棟輝行/三宅淳
細胞ゼータ電位で個々の細胞の状態を診る……一木隆範
集積化電極基板による神経回路活動計測……神保泰彦
二重鎖DNAの中に金属イオンを並べる……塩谷光彦
複合的マイクロバイオアッセイシステムの開発……佐藤記一
マイクロチップを用いた細胞分析法の開発……佐藤香枝
インテリジェントゲルを用いた糖鎖認識トランジスタの開発……松元亮
光アドレス電極を応用した細胞-環境系のマルチスケール計測・制御……高橋宏知
ケージド核酸を用いた遺伝子発現制御型セルアレイ……山口哲志
オンチップ細胞電気泳動法によるアポトーシスの評価……赤木貴則

◆Chapter 02○バイオイメージング

大脳神経細胞の樹状突起の棘“スパイン”の形の持つ意味とその運動を発見……河西春郎
mRNAやタンパク質の1分子の挙動をイメージングで観察する……船津高志
タンパク質合成に依存した記憶と大脳シナプスの可塑性……河西春郎
一酸化窒素を可視化する超高感度蛍光プローブ……佐藤守俊
分子イメージングを実現するプローブを開発し、生命現象を解き明かす……佐藤守俊
リン脂質ポリマー表面修飾ナノ粒子を用いたバイオセンシングシステムの開発……松野亮介
光マーキングによるホルモン分泌顆粒リサイクリング機構の可視化解析……坪井貴司
ナノ開口基板を用いた生体分子間相互作用1分子蛍光イメージング……飯塚怜
光により活性の制御が可能な新規ルシフェラーゼの開発……菅野憲

【Part 3 将来・産業化】

研究分野の垣根を越え、同じ場所と時間を共有することで、新しい発想や研究が生まれる……光石衛/石原一彦/長棟輝行
NANOBIO-TOKYO 2006 Nanobio Network Meeting 報告 ナノバイオテクノロジー研究の国際的な連携を目指して
片岡一則研究拠点リーダーに聞くCNBIの今と将来 2年半で共同研究や国際連携が進展。CNBI発のナノデバイスの開発に期待……片岡一則
最新のデバイスや顕微鏡を使って得た知見を医療に活かしたい……古川克子/高橋倫子/佐藤香枝
バイオチップから見る日本のナノバイオ研究と産業化の現状と未来……北森武彦/藤井輝夫/木村廣道
「見る」「調べる」から「操作する」「制御する」へ生物に学び、生物を超える? ナノバイオ研究の将来像……田畑仁/西澤松彦/野地博行/原島秀吉
若手研究者座談会 CNBIでの異分野融合の体験を生かし、自分の研究を極めたい……ゲル・ムラト/金野智浩/坂田利弥/大岡静衣/加納ふみ/岸村顕広
これからのナノバイオ研究を支える若手研究者

【おわりに】
東京大学ナノバイオ・インテグレーション研究拠点の活動と成果は世界をギクリとさせたか……堀池靖浩

【巻末付録】
ナノバイオ用語解説
諸外国におけるナノバイオ科学技術の研究動向/参考資料「内外の研究動向」

【索引】

編者について
文部科学省が2005年度から開始した委託事業「ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発」の研究拠点形成型研究として選定された研究拠点。研究拠点リーダーを片岡一則(東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻教授/医学系研究科附属疾患生命工学センター臨床医工学部門教授)が、プロジェクトマネージャーを堀池靖浩(独立行政法人物質・材料研究機構名誉フェロー)が務めた。