30年にわたる観察で明らかにされたオオカミたちの本当の生活

内容・概要

2008年から2009年の冬、カナダ・バンフ国立公園のボウ渓谷に、それまでパイプストーン渓谷をなわばりとしていたオオカミ一家が突如として現れた。そして新しいオオカミ一家は1年のうちにほかのオオカミを一掃し、その後5年にわたり、渓谷での覇権を握り続けた。
オオカミの行動研究の世界的権威、ギュンター・ブロッホによる鋭い洞察と、野生動物写真家のジョン・E・マリオットによる息をのむような美しい写真が、パイプストーン一家の盛衰、そしてバンフにおける観光事業の拡大がもたらしたオオカミたちの生活の変化を雄弁に語る。
またオオカミの「群れ」と「家族」の違いや、性格が子オオカミの生存に及ぼす影響など、「アルファ」から「オメガ」という従来の序列の概念ではとらえきれないオオカミの社会性や関係性にも迫る。
忍耐強い観察と自然への深い敬意、そして拡大する観光事業への懸念から生まれたこの本は、長く誤解と迫害を受け続けてきたオオカミたちの世界へと、扉をそっと開けてくれるだろう。